クライアントコンピューティング 64bit 時代の幕開け

2008/12/30
★★★
先回は、サーバーの 64bit に触れたが、今回は、クライアントコンピューター側の話である。MOSS とは、直接的な関係は無いが、サーバー構成の複雑化に伴い、エンジニアの開発用コンピュータのスペックもそれなりのものが必要とされつつある。
現在では、開発環境、検証環境として「Microsoft Virtual Server 2005 R2」、「VMWare」等の仮想化技術を利用し、複数ノードで構成される本番環境に限り無く近い環境を構成することが QA の観点から定石となりつつある。
ただ、職業エンジニアの読者の方々には、昨今の開発環境としてのハイスペックコンピューターの必要性を上司に説き、見事、購入、レンタルに至った経験を持つ方は少ないだろう。
やはりこれは、オープン系が黎明期であった、過去の時代、ソースコードをサーバーへ FTP でアップロードし、エミュレータでコンパイル、実行、テストしていた時代とのジェネレーションギャップであろう。
この例は極端だが、オープン系開発の現在では、Web サーバーが軽量化され、クライアント OS にも配置可能となり、開発者1人に、Web サーバー1つが利用可能となり、自分のコンピュータでソースをコンパイルし、自分のコンピュータの Web サーバーでモジュールを実行、単体レベルのテスティングができるまでとなっている。
ただし、これは、「スクラッチ開発」に限ってであり、MOSS 等のミドルウェアをプラットフォームとする開発最前線ではこうは上手くはいかない。
筆者は、SharePoint テクノロジに初期から携わってきたが、SharePoint Team Service から、現在の Microsoft Office SharePoint Server 2007 至るいまでも開発者人口が低い事由として、常に提言してきたのは、開発環境の敷居の高さにあると考えている。Microsoft 社も Visual Studio の新版が出るたび MOSS の Web パーツ開発生産性が向上したと謳ってきたことはそれを裏付けている思う。
実際、現実的な開発作業を行う場合、SharePoint ないし MOSS は、クライアント OS をサポートしていないため、Microsoft Windows Server 2000, Microsoft Windows Server 2003, Microsoft Windows Server 2008 等のサーバー OS が必要となり、開発作業を実施するためには、そのサーバー OS に Microsoft Visual Studio をもインストールする必要がある。
そして更なる試練は、コンパイル、モジュールのディプロイ、Web サーバーの再起動だ。この作業を現実的な時間で実施するためには、やはり開発用のコンピューターには、高いスペックが求められる。そして、職業エンジニアは、生産性を上げるための必要条件を生産性の悪い上司との交渉に時間を浪費することとなる。
筆者は、前にも触れたが、ThinkPad を好んでおり、それなりのスペックのものを開発に用いたりするが、Microsoft Office SharePoint Server 2007 の開発では、ThinkPad にサーバー OS を入れることをためらわれるため、Microsoft Virtual Server 2005 R2 上で、Microsoft Windows Server 2003 R2 を構成、Microsoft Visual Studio 2005 をインストールし利用している。
しかし、この環境は現実的ではない。そして、昨今のクライアントコンピュータの 64bit 対応状況へと結ばれるのであるが、続きは次回に話すこととしよう。

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